自動車事故を起こした場合、加害者は「民事責任、刑事責任、行政責任、社会的責任」の4つの責任が問われます。
交通事故により被害者が損害を受けた場合、加害者は民法709条に基づき損害賠償をすることになります。
加害者が賠償しなければならないものは、直接受けた被害（治療費・葬儀費や修理代など）だけではなく、事故がなければ得られただろう利益損害（休業損害・逸失利益）や、精神的な損害（慰謝料）なども補償する義務があります。
また、民法では従業員が業務従事中に起こした事故の場合、企業が損害を賠償する使用者責任があると定めています。
| 賠償責任に関連する民法の例 | ||
|---|---|---|
| 不法行為責任（民法709条）加害者の被害者に対する責任 | 対物 | 対人 |
| 使用者責任（民法715条）使用者の業務中の事故の場合の事業主の責任 | ||
| 運行供用者責任（自賠法3条）人身事故での自動車の持ち主などの責任 | ||
交通事故により第三者に怪我を負わせた加害者は、刑法211条に規定する業務上過失致死傷罪の処罰を受けることになります。
また、飲酒運転や信号無視など悪質な違反運転による場合は、更に重い処罰である危険運転致死傷罪が適用され、死亡事故では1年以上20年以下の有期懲役、負傷事故で15年以下の懲役が課せられます。
交通事故により他人に傷害を負わせたり、無免許運転・飲酒運転やスピード超過等の道路交通法規定に違反すると、違反点数が付加されて運転免許の停止や取り消しの処分を受けるほか、反則金を課せられます。
| 交通事故の付加点数 | ||
|---|---|---|
| 交通事故の種類 | 責任の種別 | 点数 |
| 死亡事故 | 責任の程度が重い場合 | 20 |
| 責任の程度が軽い場合 | 13 | |
| 重症事故（負傷者の治療期間が3カ月以上・特定の後遺症が残る場合） | 責任の程度が重い場合 | 13 |
| 責任の程度が軽い場合 | 9 | |
| 重傷事故（負傷者の治療期間が30日以上3カ月未満） | 責任の程度が重い場合 | 9 |
| 責任の程度が軽い場合 | 6 | |
| 軽症事故（負傷者の治療期間が15日以上30日未満） | 責任の程度が重い場合 | 6 |
| 責任の程度が軽い場合 | 4 | |
| 軽傷事故（負傷者の治療期間が15日未満または建造物損壊事故） | 責任の程度が重い場合 | 3 |
| 責任の程度が軽い場合 | 2 | |
交通事故を起こすと、取引先からの信用失墜やイメージダウンにより、企業損害などの社会的責任を負う事になります。
また、加害者は被害者に対して、お見舞いやお詫びなど、社会人としての良識に基づいた道義的責任を果たす事が求められます。
この責任は法律などで強制されていませんが、加害者が被害者に誠意を尽くすことが、人身事故に限らず円満な事故解決の必要条件となります。
